治療歴その10 エベロリムス(everolimus:RAD001)+テモドール+サンドスタチン(2009.11~)
実のところ二月ぐらい前から、everolimus(RAD001)をしばらく休薬して、これまで使用した過去使用した薬ベースに戻すかという話があった。
これについて理解してもらうためにeverolimus(RAD001)の副作用について簡単にまとめてみる。これは、この記事に必要な範囲で書いているので、これが全てと理解しないで欲しいが。
まず、自覚できる副作用であるが、
・ 口内炎(いわゆる標準量(治験で使われている量))はほぼおこるようである。
・ 強い倦怠感(これは投与期間と共に強まっていき、日本人で10mg/日を続けることができる人はかなり少ないようである。)
自覚できない副作用としては、
・ 肝機能低下
・ 骨髄抑制
という抗がん剤に広く見られるもののほかに、
・ 高血糖
などというものもある。
このため、「継続できなければ意味が薄い」との考えのもとに、治験量(10mg/日→副作用に応じて5mg/日に減量)と比べて、かなり少ない2mg/日としてきた。
もっとも、治験患者さんでも5mg/日でも大変で、5mg/2日にまで減らしている方もいるようなので無茶苦茶ということでもない。
もしも、everolimus(RAD001)を試そうとする方があれば、よほど余裕がなくて勝負ということでなければ、5mg/日を最大とするほうが無難に思える(そして余裕がなくて勝負というならばSUTENTのほうが良さそうに思えるがどうだろうか)。
しかし、一年間継続していると、やはり
・ 肝機能が徐徐に低下(下表参照)
・ 高血糖(血糖174mg/dl、HbA1c 7.0%)
・ 生活には支障がない程度の倦怠感
と副作用の蓄積が認められていた。
なお、下表で春に検査がないのはK立がんセンターのほうで経過観察してもらっている主治医が海外出張のため不在だったことによる(その間、他の医師ということも可能であったが、経過観察のためだけに、別の医師にこれまでの経緯を説明するのも手間ということで間を空けてもらった。つきあいが長いとこの辺は柔軟に対応していただける。)
誤解がないようにのべておくと、これらの値自体は、ただちに治療継続に支障というものではないものの、上昇傾向にあるし、現状維持ならば過去使用した薬でも得られるかもしれないということで、いったんeverolimus(RAD001)を休もうかというわけである。
とはいうものの、everolimus(RAD001)の効果が残っていなければ、過去使用した薬ベースの治療がうまくいかないときにあわてることになってしまう。
(腫瘍増悪により肝機能低下、それによる倦怠感というシナリオもありえる。)
このため、前々回(10月)の外来では、CTを撮ってその結果を確認してからということになった。
そうしたら・・・
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・ 前回09.07.07と比較して、多発肝転移はやや増大しています(S7の腫瘤は17mmから26mmに増大)。胆管浸潤による肝内胆管拡張、門脈腫瘍栓、膵腫瘍、脾浸潤、左副腎転移は、おおむね変化ありません。
・ 左肺S1+2、S6境界付近のすりガラス陰影や胃壁濃染、胆石、腎嚢胞なども変わりなく、明らかなnew lesionを認めません。
Impression:膵内分泌癌、肝転移、左副腎転移;肝転移はやや増大か?
左肺すりガラス影、胆石、腎嚢胞;前回と変化なし
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ということで、これまでの話はご破算。
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CTの結果を受けて、主治医にとりあえず電話したところ、次の3案が提案された。
1.SUTENTに変更。
2.他の薬を追加。現在ザノザールは供給停止のため、候補はテモダール。
3.増量
外来(11月のはじめ)まで検討しておくこととなった。
直感的には、2のテモダール追加と思えたが、安易につきすぎているように思えて、状況や自分の考えを再整理してみた。
まず、憎悪しているとすれば、主治医の提案は、これに対して、薬を「変更」「追加」「増量」しようとするものであり、極めてまっとうなもである。
読影結果を読む限りでは、憎悪と判断して対応することもおかしくない。唯一、気にかかるのは「肝転移はやや増大か?」となぜか疑問形になっていることである。
これについては、考え込んでも仕方がないので、読影医とは異なるので推測にはなるものの、同じ医師として主治医の話を聞いてみることにする。
(主治医の感覚としては、17mmから26mmということは、見ようによっては約2cmの中ともみなせるので疑問形にしたのではということだった。)
薬を変更するとすれば、SUTENT以外のものはエビデンスを見る範囲ではかなり成績が劣るのでこれが第一候補であることには、同感。
SUTENTは、効果という点では、現時点ではベストということは間違いない。私もこれを試さないで死ぬのはもったいないと思っている。
他方、SUTENTはいろいろな副作用が出る可能性が強く、いわば「やんちゃ」な薬である。
普通ならば、効果が出る可能性が高い抗がん剤(の組み合わせ)から試みるのが一般的ではあるが、この「やんちゃさ」の前に、積極派の主治医ですら、できる限りギリギリまで投与を遅らそうとしているように見えるほどである。
多分、まだ余裕はありそうなので他の選択肢がひどくなければ、その後かな。
追加であるが、ザノザールが供給停止の現在、追加する候補として、テモダールは有力である。すでに欧米ではザノザールと並ぶ第一選択薬となりつつあるし、過去に単剤とテモダール+アバスチンとしてしか使っていないし、まだ効果が出る可能性はあり得る。
ただし、テモダール+everolimus(RAD001)というのはエビデンスはなく、思わぬ重い副作用が出る可能性はあり得るし、効果も出るかは不明である。
また、副作用が強くなりつつあるeverolimus(RAD001)に追加するというところも気にかかる。
なお、これまでの経緯からジェムザールの追加という選択肢もありそうにも思えるが、テモダールよりも劣りそうな感じである。
増量であるが、副作用は間違いなく強くなる可能性が高い。効果について、単なる増量でどこまで期待できるのか、証拠はまったくないが「直感的」には引っかかる。
とすれば、増量が優先度低であり、SUTENTかテモダール追加かというところであり、後は具体的な薬量との関係も含め、主治医の経験と勘を聞きつつ考えるしかない。
ここまで、状況を整理し考えを煮詰めた後は、「悩む」しかない。
といっても、一日中、ウンウンと悩むわけではない。
しっかりと、整理し煮詰めた考えを「無意識下」で悩んでもらう。
そして、一日に一回か二回程度、意識的に再検討してみる。
たいていは、無意識下の検討で迷いはより減っているし、追加で無意識下にインプットしておくものが見つかったりする。
今回は悩んでも、結果は変わらなかったが、迷いは減った。
以上の考えをもとに、外来で主治医と相談。
やはり主治医も現時点でSUTENTに変える必要まではなく、また、増量も確実に副作用が強くなり、特に倦怠感が強くなりQOL(生活の質)に影響が出るおそれの強さを心配。
他方、テモダールについては、過去のテモダール投与時の副作用の出方から、特別に心配するまではなかろうとの判断。
最後は「結局、安易なところになりますね」と言ったら、主治医も「僕だって慎重なんだよ。問題がなければ安易なほうが良い。」ということで決定。
具体的には、これまでのeverolimus(RAD001)2mg/日+サンドスタチンLAR30mg/月に加えて、テモダールを通常量(100mg/日をday1~5、day6~28は休み)を追加することになる。
なお、開始は今月中旬に食道静脈瘤の治療が予定されているため、これが終わった後にすることとした。





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