時刻表
朝日新聞には天声人語というコラムがあるが、各新聞とも同様のコラムがある。
多少前になるが、3月30日の日本経済新聞の春秋にJTB時刻表通巻1000号にちなむ記事が載っていた。
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旧ソ連時代につくられたアネクドート(社会風刺の小話)のひとつに、こういうのがあったそうだ。モスクワの書店で客が店員に聞く。「きみきみ、国鉄の時刻表を探しているんだが」「ああ、それならフィクションの棚にありますよ」
▼ダイヤなど乱れっぱなしの鉄道事情をチクリとやっていて笑えるが、それに比べたらわがニッポンの時刻表は徹底したリアリズムの産物だろう。狭い島国の上の緻(ち)密(みつ)な列車運行を、これまた愚直に映した毎月毎月の作品である。今は2種類出ていて、そのうち「JTB時刻表」が5月号で通巻1000号にたどり着く。
▼創刊は大正末年。戦争中には年5回の発行に追い込まれたこともあったという。戦後は豪華寝台特急の登場や新幹線開通に足並みを合わせてどんどん分厚くなった。片や赤字で姿を消した路線も少なくないから巻頭の地図は昔よりも白っぽい。このずしりと重い1100ページは、鉄道史の光も影もまとい続けている。
▼昨今の鉄道ブームで部数が伸びているかと思いきや、インターネットにも押されて約15万部と最盛期の10分の1ほどらしい。とはいえ何気なく繰ってみれば、ぎっしり詰まった数字たちが旅への思いをかき立ててくれる。欄外の駅弁案内も味わい深いのだ。時刻表はやっぱり、フィクションの傑作かもしれない。
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ところで、このコラムの内容は、いろいろなコジツケが可能である。
第一のコジツケ
数字といっても、時刻表の数字は「予定」にすぎない。もちろん、日本のように、運が悪くなければ「予定」どおりに進む国もたまにはあるが、予定どおりに行くなどということは、ほとんど起こらない国もある。
日本人は、予定通りに行くことに慣れすぎてしまっており、予定通りに行かないことを、即、誤りと感じるようになりつつある。
ところで、現在のがん治療のレベルは、残念ながら、どこかの国の鉄道レベルにしか達していない(これは、がん治療が難しいということでもある)。
予定どおりに行かないことを常に想定しておくべきである。
もっとも、どこかの国であっても、時刻表すらなければ、鉄道の安全上も大問題になるだろう。
時刻表ですらない、フィクション(体験談)しか語らない代替医療と称するものや健康食品(そもそも本当に健康によいのかすらも不明)は論外であるが。
第二のコジツケ
数字を見せられると、嘘っぱちのものでも信じてしまう、つまり、数字盲信の人が結構いる。もちろん、数字に無頓着よりもいいのだろうが。
しかし、きちんとした数字のはずであってすらも、それが絶対であると信じないほうが良い。
まっとうな治験で極めて高い有効性を示した抗がん剤が、実用化されて使用が広まってみると過去の薬と大差がないことはよくある話らしい。もちろん、言われていたほどはないということであり、効果がないわけではない。また、薬の種類が増えるということは選択肢が増えるということであり、第二選択薬以下の手立てが広がるということでもあるが。
まっとうな治験でもこのようなことが良くある。いわんや、大学の研究室レベルの段階のマスコミ記事に「夢」をいだくことは仕方がないとしても、実用化など現実的な判断ならば期待は禁物だろう。
第三のコジツケ
旧ソ連の時刻表がフィクションなみであった理由は、多分、机上のプランどおりに列車が運行するはずとして、実際の運行(実際にどれくらいの速度で運行できるか、駅での停車時間、運転員交代や車両整備のための時間・・・そして、これらが、どの程度ゆっくり(=サボりながら)なされるかなど)について、現実との比較がなされていなかったためではなかろうか。
抗がん剤治療で、マニュアルどおりの治療しかしない医師が多いらしい。
もちろん、効果も副作用も予定通り進んでいるならばそれで良いが、少なくとも予定と実際を比較して問題があれば修正するという当然のことがなされないのはどうだろうか。
第四のコジツケ
時刻表が単なる数字の羅列と言っても、1000号を並べてみれば、その時代変化が見えてくるだろう。
抗がん剤治療にしても、個々の治験の結果はある意味では数字にしかすぎないし、個々の治験を見ているとより良くなったと書かれていても、患者の目(期待)から比べれば大差ないものにしか見えないことが多い。
しかし、長年の積み重ねにより、それなりの進歩がなされていることは事実である。
少なくとも、私が患者になった七年前と現在を比べるだけでもそれを感じる。
第五のコジツケ
「欄外の駅弁案内も味わい深い」とあるが、列車の旅では、時刻どおりに到着してくれることは大事なことであるが、その途中の車窓の風景というものも大きな要素である。
たまたま隣の座席に坐った方が楽しい方であれば一層良い。そういえば、昔と比べて、車中でたまたま隣に座られた方との会話というものが極端に少なくなっているように思える。知らない人には気をつけろ・・・これが現在の社会なのかもしれない。
がん治療にしても、効果があり副作用がないことが一番大事なことは言うまでもない。しかし、それにとどまらず、医師・看護師などの医療スタッフと患者の間の付き合いや患者同士の交流というのは、治療時のQOLにとっては大きな要因である。
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花粉症のためなのか、それとも、少量投与とはいえ、倦怠感というeverolimus(Certican、RAD001)の副作用が蓄積して出始めているのか(少なくとも白血球数は少しずつ減少しており、そろそろ限度に近づきつつある)、今ひとつ、つっこんで考える気がしてこない。
ということで、今週はこのような記事でごまかさせていただくことにしたい。


毎回 とても楽しみにしています。
どれだけ励みにし、楽しみにしているか!!!
口で言うのも恥ずかしい位です。
お体 ご自愛くださいませ。
投稿: 茶長 | 2009年4月 6日 (月) 19時04分